年に何度か

年に何度か書くブログ。昔は日記だった。

第3話

[第1話][第2話]
某投稿サイトに投稿中。読者が採点できるんですが、第1話は-120点でした。まぁ思いつくままマイペースで続けますが。途中までの展開とラストは頭にあるけどその繋ぎが思いつかない。そこが一番大事でしょ。とはいえ、全体をまとめてから書き始めるなんてできないし、遊びなので。28歳。笑えない。
「おじいさん?」
おばあさんは辺りを見回しましたがそれも当然です。チャイムが鳴った途端、さっきまで目の前にいたおじいさんが消えてしったのですから。もちろん、驚いたのはおばあさんだけではありません。おじいさんの前の席に座っていた山口が少し遅れて振り向いて「あっ」と声をあげた以外、素子や青木、先生や他の生徒達もおばあさんと同時に、しかしさまざまな様相で驚いていました。あるものは身を乗り出して、あるものは口を開け、あるものは目をこすり、あるものは目を丸くし、あるものは目を剥き、あるものは歯を剥き、あるものは歯が浮き、あるものは歯が抜け、あるものは歯を磨き。
「じいーっ!?」
素子の声もむなしく響き渡りました。
「と、とにかく手分けしてじいを探そう。」
先生はそう言ったものの、目の前で消えてしまったおじいさんの行方など想像できるハズもなく、当然生徒達も同じで、多くの生徒が無意味に机の下を覗いてみたりしただけでした。その後、少なくとも教室にはいない事に気付いた先生の指示によって校内や学校のまわりを探したものの、おばあさんの元に朗報が届くことはありませんでした。
「これだけ探しても見当たらないんじゃどうしようもない。警察に連絡したほうがいいんじゃないか?」
「ええんよ。」
「ええんよって言っても、届けないでどうするんだ?」
「ええんよ。」
先生の問いかけに対して言葉少なに返事をしたおばあさんでしたが、心の中では「きっと帰ってくる。きっと帰ってくる。」と繰り返していました。
次の日、おばあさんはいつも通り川へ行き、いつもの半分の洗濯をしました。そしていつも通り学校に行き、いつも通り授業を受けました。いえ、みんなが気を遣っていたので教室はいつもより少し静でした。そして、その後もおばあさんは、おじいさんがいない事以外はこれまでと同じ日々を過ごしていました。二ヶ月後、素子が消えました。

- 続く -